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 公益財団法人沖縄科学技術振興センターでは、沖縄県から「沖縄科学技術イノベーションシステム構築事業(出口志向型研究支援業務)」の委託を受け、琉球大学、名桜大学、沖縄科学技術大学院大学学園、沖縄工業高等専門学校等が有する研究シーズと企業ニーズのマッチングする体制を構築し、産学連携共同研究等の取組を継続的に支援しています。
これまでに、58件の共同研究支援と8件の実用化に向けた事業支援を実施しており、今年度はその中から『脳と農に関する研究』を配信するとともに『注目の研究トピック』として6件の研究に加え、昨年度の『沖縄の伝統食と自然に関する研究』も配信いたします。皆様のご視聴をお待ちしております。

配信期間:2月1日~28日

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 脳に関する研究 
 

睡眠医学に基づく睡眠改善アプリ「SLEEP ANGEL」で児童の快眠と能力アップ!
琉球大学教育学部 准教授 笹澤 吉明 氏

【講演要旨】
人は寝ている間に、日中学んだ勉強や運動の技術を長期記憶に固定化している。これを「睡眠依存性の記憶固定」という。
演者は沖縄の学力問題に対して、児童生徒の睡眠を改善し、学力アップを成功させてきた。このノウハウをアプリ化したのが「SLEEP ANGEL」である。就寝・起床をワンクリックで入力し、一週間の睡眠のパターンを記録し、自動的に睡眠医学に基づくフィードバックが得られ、関連する睡眠科学が学べる世界初のアプリを紹介する。

 

沖縄県産アロマオイルの製造と製品開発、機能性を活用した環境配慮型の病害虫防除技術
琉球大学農学部 准教授 諏訪 竜一 氏

【講演要旨】
沖縄県における様々な精油作物の栽培およびこれから精油の生産を行い、生産者が選択可能な栽培作物種の幅を広げ、県内における農産業の活性化につながることを目的とした研究を行った。
演者らは沖縄在来柑橘のカーブチー、沖縄県産のティーツリー、レモングラス、ミントやカラキなどを用いたアロマオイルやミストスプレー等の開発商品を紹介する。
また、生産者個人でも導入が容易となるような県産の産業用精油蒸留装置の設計と製造を行った。
さらに、これらの作物から得られた精油について高い抗菌作用を確認しており、これらの機能性を活用した病害虫防除の可能性について紹介する。

 

お酒の飲み過ぎを抑え、頭が冴える食品成分の発見
琉球大学大学院医学研究科 教授 益崎 裕章 氏

【講演要旨】
沖縄県はお酒の飲み過ぎや肥満に伴う脂肪肝がきっかけとなって肝硬変や肝臓がんに代表される肝臓の病気で死亡する割合が男女ともに全国で一番高い地域である。
沖縄県の健康長寿復活を目指して行ってきた私達の研究から玄米の中に高濃度に含まれる機能成分の中にお酒の飲み過ぎを抑え、認知機能を向上させる優れた働きがあることが明らかになった。天然食品素材を上手に活用して活き活き感にあふれる100年健康人生を歩むヒントをご紹介する。

 

注目の研究トピック

 

医薬品への応用を目指した病気に関連するタンパク質の創出
沖縄工業高等専門学校 教授 伊東 昌章 氏

【講演要旨】
沖縄高専で開発した、細胞をすり潰して調製した抽出液を用いてタンパク質をつくる無細胞タンパク質合成系という技術を用いて、ガン、アルツハイマー病、生活習慣病などの薬を開発する研究に用いられるさまざまなタンパク質をつくり、製薬会社や研究機関に届けることを目指して研究開発を行っている。最終的には、それらを沖縄高専発ベンチャー、株式会社シルクルネッサンスにてビジネス展開していくことで、沖縄県の目指す創薬拠点化形成に貢献していく取り組みを紹介する。

 

カイコの成分を用いた再生医療における細胞増殖への応用
沖縄工業高等専門学校 教授 伊東 昌章 氏

【講演要旨】
沖縄高専で見出した、細胞培養増殖促進能を有するカイコ幼虫から取り出した高分子セリシンを試薬として、また、それをコーティングし増殖促進能を有しかつ接着性を高めた細胞培養に用いるシャーレをつくり、再生医療研究を行っている製薬会社や研究機関に届けることを目指して研究開発を行っている。最終的には、それらを沖縄高専発ベンチャー、株式会社シルクルネッサンスにてビジネス展開していくことで、沖縄県が進める再生医療拠点化形成に貢献していく取り組みを紹介する。

 

発色剤代替紅麹色素封入食用ナノ粒子製剤の開発
琉球大学農学部 准教授 橘 信二郎 氏

【講演要旨】
明太子、ハム、ソーセージ等に使用されている発色剤の亜硝酸ナトリウムは、体内で発がん性物質に変化することが懸念されている。このため、代替の天然色素製剤として、沖縄の伝統発酵食品「豆腐よう」に用いられている紅麹色素を用いた新たな色素製剤を開発した。
紅麹色素封入ナノ粒子を用いた安心・安全な明太子の研究開発の成果および現在進行中の紅麹菌と黒麹菌を用いた高機能性発酵食品の開発概略について紹介する。

 

シークヮーサー種子の有効成分(ノミリン)を活用した機能性表示食品の開発
琉球大学教育学部 教授 照屋 俊明 氏

【講演要旨】
沖縄の特産品であるシークヮーサー種子に含まれる機能性成分ノミリンには、抗肥満や抗糖尿病作用を示すとともに、骨格筋の肥大化や筋力の増強作用を示す可能性が報告されている。
本発表では新規ロコモティブシンドローム対策機能性表示食品の創製を目指して、廃棄されるシークヮーサー搾汁残渣種子を有効活用して製造したノミリン高純度食品原料ついて紹介する。

 

肌の修復と再生に有効な脂肪幹細胞由来コスメの開発
琉球大学医学部 特命助教 角南 寛 氏

【講演要旨】
琉球大学医学部では脂肪幹細胞を用いた再生医療及び再生医療研究を行っている。
この過程で副次的に産生される培養上清には生理活性物質(サイトカイン)が多く含まれている。このような培養上清液は、日本国内で製造販売されておらず、安全かつ高品質な日本産の脂肪幹細胞培養上清液が求められている。そこで脂肪幹細胞培養上清液中の有効成分の濃度を高め、より優れた脂肪幹細胞由来コスメの開発を紹介する。

 

環境に配慮した新規畜産排水処理技術の開発
沖縄科学技術大学院大学学園 グループリーダー 貝沼 真美 氏

【講演要旨】
排水中の有機物やリン・窒素を 未処理のまま放流すると人体や環境に悪影響を与える。養豚業の排水にはアンモニア由来の高濃度の硝酸性窒素が含まれており、一般排水基準値への適合が困難な状況である。我々は、環境に存在し電極呼吸をする微生物を利用した生物電気化学システムを排水処理に応用している。本発表では、産官学連携により養豚農家のニーズに沿った低メンテナンス・低コストで有機物・窒素・リンを除去する技術開発を紹介する。

 
沖縄の伝統食と自然に関する研究
 

沖縄の美しいサンゴ礁の遺伝的多様性維持に向けて
琉球大学理学部 教授 竹村 明洋 氏

【講演要旨】
サンゴ礁は様々な生物の競争と共生で成り立っている生物多様性のホットスポットである。サンゴ礁の生物多様性は造礁サンゴ類(以下サンゴ)を基盤として成り立っているが、地球規模で進む温暖化や地域規模で頻発する人為的かく乱によって危機に直面している。サンゴ礁は沖縄の自然を代表するものである。豊かな海を保全して再生することで、沖縄の観光産業や関連産業を発展させることができる。今回の発表では、サンゴの成長と生殖に関わる生理機構の理解から、人為的な環境操作によって成長や生殖を操る技術の開発についてご紹介する。

 


泡盛蒸留粕の機能性と有効利用について
琉球大学農学部 教授 平良 東紀 氏

【講演要旨】
沖縄の伝統的蒸留酒である泡盛は、蒸米に黒麹菌を生やして出来た麹に、水と酵母を加えて発酵させた後,蒸留して得られる。その副産物が泡盛蒸留粕である。泡盛蒸留粕を圧搾ろ過した液体がモロミ酢である。モロミ酢は多量の有機酸とアミノ酸を含む健康飲料として認知され、いくつかの健康機能性が報告されている。本講演では、泡盛蒸留粕の乳酸菌による再発酵や酵素処理により機能性を増大・付与した研究成果について報告する。

 


ハブ毒に対する治療薬の開発について
琉球大学熱帯生物圏研究センター 助教 玉城 志博 氏

【講演要旨】
ハブに咬傷されると咬症患者のQuality of Lifeは著しく低下する危険性をはらんでいる。そのため、現在ハブ咬傷には、「乾燥はぶウマ抗血清」の投与による毒素中和が治療法として存在している。しかし、この抗毒素はウマ血清が原料であるため、ヒトに対して重篤な副作用を誘発する危険性があり、安全性の高い抗毒素へ置き換えることが必要である。そこで琉球大学、沖縄県衛生環境研究所、株式会社イーベックが産学官連携体制を取り、それぞれが得意とする技術を融合させることにより、安全性の高い抗毒素開発を進めている。

 

 

実施事業─沖縄科学技術振興センターで現在実施している事業一覧─