知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業
沖縄県委託事業 平成22~27年度
事業の概要
背景
沖縄県は、日本で唯一亜熱帯気候に属し、特徴的かつ多様な生物資源が存在しており、これらを活用したバイオベンチャー企業の参入などによる産業振興が期待されています。平成24年9月には、沖縄科学技術大学院大学が開学し、世界トップレベルの研究者を中心とした先行研究事業を進めています。その一方で、沖縄県では他の自治体に先駆け、ゲノムの高速解析が可能な「先端シーケンサー」(注1)を導入し、これらを活用した事業を推進しており、さらに、県内の複数の研究機関で「先端シーケンサー」を整備したことで、世界的に見ても有数のゲノム解析拠点としての地位を確立しつつあります
※注1「先端シーケンサー」: DNA等の遺伝情報の解析機器で、従来型と比較し、次世代型以降解析できる情報量・スピード等の性能が飛躍的に向上した。(同義語:次世代DNAシーケンサー、ギガシーケンサー、第三世代シーケンサー、先端ゲノムシーケンサーなど)
知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業とは
沖縄県は、「多様な生物資源」や「ゲノム解析拠点」としての高いポテンシャルを活かし、沖縄県の科学技術振興に寄与することを目的に、平成22年度より「知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業」を開始しました。研究開発拠点として「オープンリサーチセンター」を整備し、県内外の複数の研究機関、企業を集めて、「生物資源の活用」「環境・エネルギー」「医療・健康」「創薬」の4つのテーマで共同研究を開始しています。また、情報発信および情報交換の場を提供する目的で、バイオサイエンスに関するシンポジウムやセミナーを開催し、ネットワーク形成を推進しています。
本事業のねらい
本事業では、様々な研究者、研究機関、企業との共同研究を介したネットワーク形成を促進し、その結果として沖縄県における持続的かつ発展的な研究開発の原動力となる「知的クラスター」(注2)の形成を目指しています。
※注2「知的クラスター」:大学等を核として産学官が連携し研究者、研究機関が集積する状態
事業推進体制
事業の推進にあたって
当財団に高い専門知識を有する事業統括および研究コーディネーターを配置し、専門的な観点から委託業務について適切にマネージメントするとともに、当財団および大学、研究機関などの再委託先との連携を強化し、専門的な立場から包括的に取りまとめることで、研究事業の高度化を図っています。
事業の管理法人としての当財団の役割
事業の管理法人としての当財団の役割
1.オープンリサーチセンター(ORC)の管理・運営
共同研究を促進する目的で、沖縄の「多様な生物資源」や「ゲノム解析拠点」としての機能を拡充させた高度な研究開発施設である「オープンリサーチセンター(ORC)」の管理・運営を担っています。
<活動概要>
・施設設備の運営・管理(生物資源関連(スクリーニング、培養、保管)、ゲノム解析関連)
<研究テーマの概要>
生物資源の活用 | 『沖縄生物資源の活用促進に向けた研究基盤の構築』 (平成22~24年度・終了) 沖縄県内から採取した多様な生物資源サンプルから有用物質を探索するとともに、新たな探索技術と利用技術の開発を行います。また、ゲノム解析技術のさらなる向上と有効活用をめざします。 |
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環境・エネルギー | 『沖縄生物資源を活用したオンサイト環境浄化及びオイル等 高付加産物の生産に関する研究開発』 (平成23~25年度・終了) 沖縄の微生物、微細藻類等を活用して、汚染土壌、河川などを浄化するための研究を行います。また、オイルや有用物質の生産に向けた研究を行います。 ※「オンサイト環境浄化」:汚染物質の除去作業ではなく、微生物の分解機能などを利用して汚染場所で浄化を行う方法 |
医療・健康 | 『健康長寿改善の技術開発のための、有効成分の経皮吸収等の新手法を利用したメタボロミックな基礎的研究』 (平成23~25年度・終了) メタボローム解析に基づいて、沖縄県産物等の有効成分の探索とナノ化による治療応用と健康増進のための技術開発を行います。また、長寿命者、成人飢餓時の代謝への影響の解析および、長寿、肥満家系のゲノム解析を行い、沖縄の長寿命者が多い原因の解明をめざします。 |
創薬 | 『沖縄の生物資源とネットワークを活用した医薬品探索研究』 (平成24~27年度・終了) 沖縄生物資源を活用して、抗ウィルス・抗菌・抗真菌等の感染症および免疫・炎症性疾患に対して有効な物質を探索するとともに、合成、薬理評価を行い、新たな治療薬・予防薬の創出を目指した研究を行います。 |
生物資源活用の高度化 | 『先端シーケンサーによる生物資源微生物のゲノム解析技術の開発』 (平成27年度・終了) 産業上有用な物質を生産する放線菌や乳酸菌等の微生物を対象として、先端シーケンサーの解析基盤を活用して、沖縄の多様な生物資源の付加価値を高めるための研究を行います。 |
2.共同研究事業の推進
「オープンリサーチセンター」 を中心的な研究拠点として、現在4つのテーマで共同研究を推進しています。
<活動概要>
外部の専門家による研究推進委員会を各テーマ別に年2回程度開催し、公正公平な立場での助言・アドバイスをいただきながら研究を推進しています。
平成27年度
- 「先端シーケンサーによる生物資源微生物のゲノム解析技術の開発」
第一回研究推進委員会 平成28年01月06日 @パシフィックホテル沖縄 - 「沖縄の生物資源とネットワークを活用した医薬品探索研究」
第二回研究推進委員会 平成28年01月05日 @パシフィックホテル沖縄
第一回研究推進委員会 平成27年06月24日 @パシフィックホテル沖縄
平成26年度
- 「沖縄の生物資源とネットワークを活用した医薬品探索研究」
第二回研究推進委員会 平成27年01月09日 @パシフィックホテル沖縄
第一回研究推進委員会 平成26年06月09日 @パシフィックホテル沖縄
平成25年度
- 「沖縄の生物資源とネットワークを活用した医薬品探索研究」
第二回研究推進委員会 平成26年02月10日 @パシフィックホテル沖縄
第一回研究推進委員会 平成25年06月20日 @パシフィックホテル沖縄 - 「健康長寿改善の技術開発のための、有効成分の経皮吸収等の新手法を利用したメタボロミックな基盤的研究」
第二回研究推進委員会 平成26年01月23日 @ロワジールホテル・スパタワー那覇
第一回研究推進委員会 平成25年07月11日 @パシフィックホテル沖縄 - 「沖縄生物資源を活用したオンサイト環境浄化及びオイル等高付加産物の生産に関する研究開発」
第二回研究推進委員会 平成26年01月31日 @パシフィックホテル沖縄
第一回研究推進委員会 平成25年07月02日 @沖縄ポートホテル
平成24年度
- 「沖縄の生物資源とネットワークを活用した医薬品探索研究」
第一回研究推進委員会 平成25年02月12日 @パシフィックホテル沖縄 - 「健康長寿改善の技術開発のための、有効成分の経皮吸収等の新手法を利用したメタボロミックな基盤的研究」
第二回研究推進委員会 平成25年01月31日 @パシフィックホテル沖縄
第一回研究推進委員会 平成24年07月13日 @パシフィックホテル沖縄 - 「沖縄生物資源を活用したオンサイト環境浄化及びオイル等高付加産物の生産に関する研究開発」
第二回研究推進委員会 平成25年02月05日 @パシフィックホテル沖縄
第一回研究推進委員会 平成24年06月05日 @沖縄ポートホテル - 「沖縄生物資源の活用促進に向けた研究基盤の構築」
第二回研究推進委員会 平成25年02月01日 @パシフィックホテル沖縄
第一回研究推進委員会 平成24年06月11日 @パシフィックホテル沖縄
平成23年度
- 「健康長寿改善の技術開発のための、有効成分の経皮吸収等の新手法を利用したメタボロミックな基盤的研究」
第二回研究推進委員会 平成24年02月29日 @沖縄ポートホテル
第一回研究推進委員会 平成23年11月22日 @沖縄ポートホテル - 「沖縄生物資源を活用したオンサイト環境浄化及びオイル等高付加産物の生産に関する研究開発」
第二回研究推進委員会 平成24年02月06日 @沖縄ポートホテル
第一回研究推進委員会 平成23年10月25日 @沖縄ポートホテル - 「沖縄生物資源の活用促進に向けた研究基盤の構築」
第二回研究推進委員会 平成24年01月30日 @沖縄ポートホテル
第一回研究推進委員会 平成23年06月30日 @沖縄ポートホテル
平成22年度
- 「沖縄生物資源の活用促進に向けた研究基盤の構築」
第二回研究推進委員会 平成23年02年10日 @沖縄ポートホテル
第一回研究推進委員会 平成22年09年15日 @沖縄ポートホテル
3.情報発信・連携促進等
沖縄科学技術振興センターならびに本事業の共同研究の参画機関・研究者等のネットワークを活用し、本事業やそれに関連する生物資源・ゲノム解析等の成果を県内外の研究者、企業および県民に情報発信するとともに、「知的クラスター」形成に向けた連携を促進します。
平成27年度
- 「知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業」セミナー
「(独法)国立国際医療研究センター研究所の紹介及びクラスター形成に向けた取り組み」
平成27年12月17日 @パシフィックホテル沖縄 (参加者88名) - 「Bio Japan 2015 ~World Business Forum~」
出展参加およびスポンサーセミナーの開催
〇出展(沖縄パビリオン)・・・ポスター展示
オーピーバイオファクトリー株式会社
株式会社AVSS
株式会社先端医療開発
農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
一般社団法人沖縄綜合科学研究所
平成27年10月14日~16日 @パシフィコ横浜 展示会場 (ブースNo.D103)
〇スポンサーセミナー ~先端シーケンサーが拓く沖縄生物資源~
「事業概要説明」
「次々世代シーケンサー PacBio RSⅡの医療・環境・農工学へのインパクト2015」
「アズキの全ゲノム解読と、沖縄に生息するアズキのなかま」
「海洋生物資源の産業利用の促進」
「有機塩素化合物環境汚染のバイオレメディエーションによる浄化とメタゲノム解析による安全性評価」
平成27年10月15日 @パシフィコ横浜 アネックスホールF203 (参加者114名)
平成26年度
- 「知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業」セミナー
「(独法)国立国際医療研究センター研究所の紹介及びクラスター形成に向けた取り組み」
平成26年6月10日 @沖縄県工業技術センター(参加者16名) - 「Bio Japan 2014 ~World Business Forum~」
出展参加およびスポンサーセミナーの開催
〇出展(沖縄パビリオン)・・・ポスター展示
オーピーバイオファクトリー(株)
(株)先端医療開発
(株)AVSS
平成26年10月15日~17日 @パシフィコ横浜 展示会場 (ブースNo.D103)
〇スポンサーセミナー ~先端シーケンサーが拓く沖縄生物資源~
「事業概要説明」
「次々世代シーケンサー PacBio RSⅡの医療・環境・農工学に対するインパクト」
「PacBio: Setting a Higher Standard for Sequencing in the Life Sciences」
「海洋生物資源の産業利用の促進」
「沖縄由来天然物からの抗感染症薬の探索」
「玄米由来 有効成分を活用した メタボ・糖尿病 予防の分子栄養学的アプローチ」
平成26年10月15日 @パシフィコ横浜 アネックスホールF204 (参加者115名) - 「知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業」シンポジウム
平成26年12月18日 @パシフィックホテル沖縄 (参加者119名) - 創薬セミナー 「Diccovery of useful bioactive compounds from microorganisms」
平成26年12月19日 @沖縄科学技術大学院大学 Center Bldg. Level B, B503 (参加者21名)
平成25年度
- 「知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業」シンポジウム
平成25年12月19日 @沖縄産業支援センター (参加者162名) - 「Bio Japan 2013 ~World Business Forum~」
出展参加およびミニプレゼンの開催
〇出展(沖縄パビリオン)・・・ポスター展示
琉球大学 熱帯生物圏研究センター
琉球大学 教育学部
東京農工大学 大学院工学研究院
(一社)沖縄綜合科学研究所
沖縄県工業技術センター
オーピーバイオファクトリー(株)
ソムノクエスト(株)
(株)先端医療開発
(株)AVSS
平成25年10月9日~11日 @パシフィコ横浜 展示会場 (ブースNo.D103)
〇出展(沖縄パビリオン)・・・ミニプレゼン
「琉球野菜に高付加価値をつける官学産連携の重要性」
「沖縄素材を用いたナノ粒子の製造技術開発」
「知的クラスターにおける先端シーケンサー解析基盤の活用」
「揮発性有機塩素化合物分解微生物の獲得とゲノム解析」
「沖縄の未利用海洋微生物資源へのアクセス」
「Potential Okinawa SEA for Drug Discovery」
「感染症治療薬ーウイスル感染症ーの開発に向けて」
平成25年10月9日、10日 @パシフィコ横浜 展示会場 (ブースNo.D103) - マリンバイオテクノロジー学会大会公開シンポジウム
「沖縄海洋生物資源が秘めたポテンシャルとその利用」
平成25年6月2日 @沖縄県市町村自治会館 (参加者121名) - 「P2施設における、病原性微生物(ウイルス)の取扱い」セミナー
平成25年7月23日 @沖縄県工業技術センター (参加者:32名) - 「次世代シーケンサー技術交流会」
第1回次世代シーケンサー技術交流会 平成25年8月8日 @沖縄ライフサイエンス研究センター
第2回次世代シーケンサー技術交流会 平成26年3月19日 @沖縄県工業技術センター
(参加機関:沖縄科学技術大学院大学、琉球大学 熱帯生物圏研究センター、琉球大学大学院 医学研究科
沖縄県農業研究センター、沖縄県工業技術センター、(一社)沖縄綜合科学研究所)
平成24年度
- 「沖縄バイオサイエンスセミナー」
「藻類バイオマス~未来を拓くフロンティア」
「ボトリオコッカスの大規模EST解析」
平成24年07月19日 @沖縄県工業技術センター (参加者76名) - 「Bio Japan 2012 ~World Business Forum~」
〇スポンサーセミナー
「事業概要説明」
「Potential of The SEA for Drug Discovery」
「沖縄産微細藻類が生産する有用天然有機低分子の探索」
「放線菌生合成遺伝子クラスター同定・取得技術、および異種発現生産システムの開発」
「先端シーケンサーPacBioRSを用いたゲノム解析」
平成24年10月10日 @パシフィコ横浜 ANNEXホール (参加者126名)
〇出展(沖縄パビリオン)・・・ポスター展示
琉球大学 熱帯生物圏研究センター
京都大学付属病院老年内科
東京農工大学 大学院工学研究院
沖縄科学技術大学院大学 マリンゲノミックスユニット
(一社)沖縄綜合科学研究所
オーピーバイオファクトリー(株)
ソムノクエスト(株)
(株)先端医療開発
平成24年10月10~12日 @パシフィコ横浜
〇出展(沖縄パビリオン)・・・ミニプレゼン
「琉球野菜の機能性食品素材としての可能性」
「Potential of The SEA for Drug Discovery」
平成24年10月11日 @パシフィコ横浜 - 「生物多様性・ABS説明会in沖縄」
「海洋生物資源の可能性」
「生物多様性条約と名古屋議定書」
「名古屋議定書実施に関する国内外の動向」
「JBAのABS支援措置」
「遺伝資源へのアクセス手引の第2版発行について」
平成24年11月29日 @沖縄県工業技術センター (参加者55名) - 「知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業シンポジウム」
平成24年12月19日 @パシフィックホテル沖縄 (参加者194名)
平成23年度
- 「沖縄バイオサイエンスセミナー」
「皮膚を介する化学物質の浸透・吸収とその促進・制御法」
「疾患関連遺伝子のゲノムワイド探索:現状と課題」
平成24年03月01日 @沖縄県工業技術センター (参加者45名) - 「知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業シンポジウム」
平成23年12月20日 @沖縄産業支援センター (参加者173.名) - 「沖縄バイオサイエンスセミナー」
「微生物によるオイル生産の可能性と展望」
「ラビリンチュラ類(オーランチオキトリウム属)による高機能性油脂の生産」
平成23年11月11日 @沖縄県工業技術センター (参加者42名) - 「沖縄ゲノムサイエンス講演会-OISTでのゲノムシーケンスの現状
-次世代シーケンサーの技術的課題とその克服-」
平成23年09月09日 @沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター (参加者38名)
平成22年度
- 平成22年度「動物の不思議な能力:ゲノムからの挑戦」シンポジウムの開催
平成23年01月29日 @沖縄産業支援センター (参加者86名) - 「OKINAWAライフサイエンスシンポジウムⅢ」
平成23年01月20日 @パシフィックホテル沖縄 (参加者107名) - 「知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業
~沖縄生物資源の活用促進に向けた研究基盤の構築シンポジウム」
平成23年01月07日 @沖縄産業支援センター (参加者118名) - 「Seeds and Needs for Large Scale Computing 2010
(次世代シーケンサー:ITとバイオの融合を目指して)」
平成22年10月01日 @かりゆしアーバンリゾート那覇 (参加者50名) - 「沖縄ゲノムサイエンス講演会-ゲノミクスと医療科学技術振興課のクロストーク」
平成22年08月09日 @沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター (参加者34名)
4.委託業務報告書(概要版)
平成27年度 報告書(概要版)
平成27年度 知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業 委託業務報告書(概要版)
平成26年度 報告書(概要版)
平成26年度 知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業 委託業務報告書(概要版)
平成25年度 報告書(概要版)
平成25年度 知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業 委託業務報告書(概要版)
平成24年度報告書(概要版)
平成24年度 知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業 委託業務報告書(概要版)